かにみそなまこをつまむ。

40代男子の日常、昔の思い出などについて、現在休載中

ファミリーキャンプ

 7年ほど前から、毎年家族でキャンプに行くようになった。年に2、3回。多い年は4、5回。

 私が好きだから、という理由で家族をまきこんで、はじめた。でも、妻の前では、ホテルに泊まることを考えると安くつくし、子供の教育にもよさそうという大義名分を掲げてる。

 はじめ、妻はあまり乗り気でなかった。虫が嫌だとか、めんどくさいのに喜んでバーベキューする人の気がしれないとか言ってた。アマゾンで、家族用の大型テントをポチっとクリックしたときは、かなり不安だった。一回使って、二度と出番がなかったらどうしよう。なるべく妻を引き込みこもうと思った。キャンプっていいね、と思ってもらうのだ。

 はじめてのキャンプで、私は一生懸命働いた。汗水たらしてがんばった。はじめての大型テントもほとんど一人で建てた。普通は、二人以上で建てる。食事の用意も一人でした。顔面灰まみれになりながら、せっせと炭をおこし、トングで野菜や肉を焼いた。さあ、どうぞ、くつろいで大自然をお楽しみくださいと妻に奉仕した。

 そのかいあってか、今ではだいぶ楽しんでくれている。テントの組み立てや片づけも、積極的に手伝ってくれるようになった。キャンプに行こうというとサイトの予約もやってくれる。口では虫が嫌いなどとお嬢様ぶっていたが、そもそも自然が好きそうなタイプだよなーと私は思ってた。休日も楽しそうに雑草引いているし。子どもがキャンプを喜んでいるから、だけなのかもしれないけど。

 子どもはすっかりキャンプが好きになった。妻にはキャンプを好きになってほしいと意図した部分があったが、子どもには特に気を使わなかった。子どもは自然の生きものなのだ。好きになるに決まってる。

 ただ、長女は嫌がっていたときがあった。キャンプより、旅館の方がいいと言っていた時期があった。最近は、また普通に喜んでくれるようになったが。そのとき、ちょっと高級な旅館に泊まったことがあったのだ。知らぬが仏。子どもに洗練されたサービスは受けさせないに限る。

 さて、ゴールデンウィークもキャンプに行ったのだが、行く前の平日、長女が学校を休みたいと言い出した。長女は少しがんばりすぎるところがあるから、すぐに学校に行きたくないという。もちろんさぼっているとは思わない。集団生活の中で適度に休む術がまだ身についていないだけの話だ。ただ、私も妻も簡単に仕事を休むわけにはいかない。なんとか、そのしんどさのまま、意欲のないまま、学校に行ってほしいという旨を伝えたら、怒りはじめた。「なんでしんどいのに休んだらだめなのー。」と寝転がったまま騒ぎたてる。

 うーん、あまり使いたくない手だが、しようがない。

「分かった、長女ちゃん。しんどいなら、学校休もう。パパから学校に連絡しておくね。それから、明日のキャンプ場にも連絡しておくね。ああ、残念だなあ。みんなでキャンプに行きたかったのに、しんどいならしようがないね。」と言って、電話をかけるふりをすると、むくっと起き上がった。

 小学校の制服に着替えはじめる。ブラウスのボタンをとめながら、私をにらんだ。

「・・・パパ、ずるい。」

 すまない娘よ、汚い大人を許してくれと心の中で懺悔しつつ、キャンプで釣れるくらい、キャンプを好きになっていることが、ちょっとだけうれしかった。

 

↓ずっとこれを使ってる。部屋が2つもある大型テント。