かにみそなまこをつまむ。

40代男子の日常、昔の思い出などについて、現在休載中

仕事を休んだ日

 月曜日、寒い中、仕事をすることがあって、かなり体が冷えた。

 あー体が冷えてるなあ、と分かっていたが、じきに戻るだろうと思って、ほったらかしにしていた。

 午後になっても、体の調子が戻らない。けっこう暖かかったのに、寒さを感じていた。

 帰りの車の中では、もうガチガチと震えていた。家に帰って、速攻寝ようと思った。

 家に着くと、速攻でパジャマに着替えて、夜ごはんを食べず、栄養ドリンクだけ飲んで、寝床に入った。

 が、寒さが止まらない。布団にくるまっていても、どんどん寒くなっていく。これは、高熱が出てるっぽいので、インフルエンザではないか、と思ったが、どうもそんな感じでもなさそうだ。のどは痛くないし、ふしぶしの痛みもないし、倦怠感もない。ただ、お腹が、圧倒的におかしい。何度もトイレに行く。吐き気もする。

 ひょっとして胃腸炎か?

 でも、胃腸炎でこんなに寒気がするもんだろうか。

 いずれにせよ、明日の朝までには絶対に治したかった。インフルエンザじゃないっぽいのはラッキーだったと思いながら、寝床とトイレを往復しつつ、水分を取るという動作を、朝まで何度も繰り返した。

 朝、少しましになっていた。よし、これなら仕事に行ける、と思ったが、立ち上がると、まだかなりしんどかった。でも休みたくない。休んだら、自分の仕事の穴を埋めるのに、他の人たちに迷惑がかかる。そもそも、私はあまり仕事を休んだことがないのだ。ふらふらしつつ、とりあえずスーツに着替え、身支度を整えた。

 が、すぐに、腹部に激痛が走った。トイレに行ったが、不快感と吐き気は収まっていない。

 スタジオジブリのアニメ映画「もののけ姫」の中で、主人公のアシタカが言っていたセリフを思い出す。「やめろー、山犬の姫、ひくも勇気だ。森へ帰れー。」

 ひくも勇気。

 休むも勇気。

 やめろー、かにみそなまこー、休むのも勇気だ。寝床へ帰れー

 脳内のアシタカにはげまされ、私は職場に電話をすることにした。上司は、文句など一言も言わず、ただ心配してくれていた。ありがとうございます。

 電話が終わると、もう着替える気もしなくて、スーツ姿のまま、寝床に行って、そのまま布団に倒れこんだ。

 行く気がなくなると、実は全然大丈夫じゃなくて、ものすごくしんどかったことが分かって来た。あーしんど、あーしんど、とうわごとのように繰り返し独り言ち、布団にくるまりながら、心の底から今日は仕事に行かなくてよかった、と思った。