かにみそなまこをつまむ。

40代男子の日常、昔の思い出などについて、現在休載中

歩き遍路の思い出③ 荷物を背負う

 遍路のスタート地点、徳島県にはフェリーで渡った。12月25日に上陸。なぜ仏教修行の開始日に、イエスキリストの誕生日を選んだのか、私にも全く分からない。たまたま決意して、準備して、到着したのがクリスマスだった。

 フェリーを降りて歩き始めた。

 買ったばかりのキャンプ道具が入った、買ったばかりのバックパックを背負って歩く。10キロくらいはあったと思うが、全然苦にならなかった。背中が守られている感じがして、重さが心地よかった。何かを背負っているというのがよかった。

 当時ニートだった私は、社会的にはかなりふわふわしていたはずだが、実際、心は重さを感じていた。常に何かを背負っているような気分でいた。そんな気分が、10キロの荷物という具体的に形となったことに、安心感を覚えたのかもしれない。妙にしっくりきて、そうそう、コレ、この感じ、これくらいの重しが欲しかったんだよなー、とか思ってた。

 遍路とは、四国にある88の寺を歩いてまわるという修行である。とりあえず、私は1番目の寺を目指して、歩き始めた。