歩き遍路の思い出① きっかけ
今から20年近く前、25才くらいの頃、四国でお遍路をしたことがある。野宿しながら、四国にある八十八のお寺を歩いて回った。
ずっと、なぜあのとき自分が遍路に出たのか、はっきりと分からないでいた。すごく重くて複雑な理由がある気がして、言葉にできなかった。
さすがに、この年になると、冷静に過去を振り返られるようになる。
ただ、単純に、挑戦してみたかったのだ、と思う。クリアできたら何かが変わるかもしれない。
結局クリアしたところで、劇的には、何も変わらなかった。相変わらず社会になじめなかったし、その後も無職でふらふらしてることが多かった。
でも、今考えてみると、少しだけ、自信がついたのだと思う。自分が挑戦しようと思ったことに挑戦し、やり遂げたことで、ほんの少しだけ、自信が生まれた。
今日みたいに、日記に書くことがないとき、あのときのことを少しずつ書いてみようと思う。ずいぶん昔のことなので、どこまで思い出せるか分からないが。
そもそもお遍路を知ったのは、両親がバスツアーにはまっていたからだ。当時お遍路のバスツアーというのがあったのだ。今でもあるかもしれないが。ニート真っ只中にいた私は、常に暇だったので、お遍路のことを調べに、わざわざ図書館まで足をのばした。
調べるうちに、どうやらバスツアーというのは邪道で、本来歩いて四国の寺を回るものだというのが分かった。修行ような感じで紹介されていた。
八十八の寺を歩いて回る!
そんなことをするやつがいるのか。なんでそんなことをするのか。アホじゃないのか。
でもちょっとだけ面白そうだな、と思った。
その後、一年くらい経って、よっしゃいっちょやったろか、と四国に乗り込んだのだが、図書館で本を読んでるときは、まさか本当に自分がやるとは思ってもいなかった。