ゲーム機
長女は小2だ。今年の4月から小3になる。
長女の学年ではすでにゲームが流行ってるらしい。長女いわくみんな持っているとのこと。もちろん子供の「みんな」が何人をさすのかは不明だ。
早すぎるんじゃないか、と思ってた。スマホと同じように、もっと与える時期を考えるべきだろう、と内心、他の親に対してイライラしてた。
が、もうそんなことを言ってられなくなってきた。子供がゲームがないことでストレスを感じているようなのだ。クラスの友達に、まだゲーム買ってないの?とたびたび聞かれるらしい。クソガキどもめ。はじめは、一過性のものだろうと私と妻も様子を見ていたが、そうでもないらしかった。
娘は本が好きで、本に関しては求めるがままに買い与えてきた。数日前、娘は妻に、ゲームの攻略本をねだったそうだ。ゲームを持っていないのに、妻は疑問に思ったらしいが、言われるがままに買ってあげたようだった。
私が家に帰ると、熱心にゲームの攻略本を読んでいる娘がいた。変な本を読んでいるなあ、と思っていたら、こんな風に言う。
「私、ゲームができるようになったら、こんな風にプレイするつもりなの。」
直接ゲームを買って、とは言わない。いじらしい娘の姿に胸が締め付けられた。
また、テレビのYoutubeで、やたらとゲームの実況中継の動画を見るようになった。平日も休みの日も、ずっとかじりつくように見てる。どう見てもくだらない。他人がゲームを操作し、アフレコで解説しているだけの動画。マインクラフトというゲームなのだが、レゴブロックをゲームにしたようなもので、ブロックを使って自分の世界を作っていくゲームのようだ。その自分たちで作った世界の中で、ストーリーを作り、ごっこ遊びのようなことをしている。
くだらなさすぎて涙が出そうな動画に、夢中になっている憐れな私の娘。
夜、私は妻と話合った。
「アマゾンプライムのアニメは許せるが、あのゲームの実況中継の動画だけは虫唾が走るんだ。」
「ふふ、私もよ。あのクソみたいな動画のことでしょう。」
珍しく妻と意見が合った。
「あのクソみたいな動画を見るくらいなら、むしろ自分でゲームをプレイしてほしい。」
「全く同感よ。」
その日、私たちは娘にゲームを買い与えることを決めたのだった。