ゲームを買う
娘たちにゲームを買おうと決めて、次の日近くの電気屋さんに買いに行った。「ニンテンドースイッチ」と、ソフトの「マインクラフト」。あと、大人もできるやつはないかと考えて、フィットネスゲーム「リングフィットアドベンチャー」というやつを買った。リモコンを手と足につけ、体を動かして、ゲームを操作するらしい。合計で5万円ほどした。けっこう高い。
家に帰ってからすぐに娘たちに見せるのもどうかと思い、いったん押し入れで寝かすことにした。しかし、どのタイミングで披露すべきか悩んだ。
一週間ほど、妻と話し合った。結果、ルールを作ってからお披露目しようということになった。最近、テレビの見方もよろしくないし、いい機会だと思った。
そして、昨日、テレビの見方について、娘たちにルールを作るように命じた。娘たちは、平日4本、休みの日は10本というルールを提案してきた。ちょっと見すぎではないか、と思ったが、まあ自分たちで決めたのだからいいだろう。その後で、さりげなく、もし家にゲームが来たらどんなルールにするか、と尋ねた。「なぜ、ありもしないゲームのルールをきくの?」という顔をしていたが、「平日1時間、休みの日2時間」と答えた。今度は、そんな少なくて我慢できるのか、と思ってしまった。が、口は出さないでおく。
そのあと、娘たちの考えたルールをワードに打ち込んで、かわいらしくデザインした。プリントアウトした紙を額縁に飾り、テレビの横に置いた。
これで、準備オーケー。
押し入れから、一週間前に買った電気屋さんの袋を、おもむろに取り出す。スイッチの箱を開封する私に、娘二人の視線がくぎづけになっている。が、なんだかよく分かっていないような感じ。すぐに大喜びしてはしゃぎまわるかな、と思っていたが、きょとんとしている。
「それって、スイッチ?」
「うん。そう。」
「え、え、スイッチ?」まだ、半信半疑といった様子。「パパ、スイッチってソフトがないとゲームができないんだよ。」
「ほう、ソフトか・・・。」
電気屋の袋から、さらに「マインクラフト」と「リングフィットアドベンチャー」を取り出した。
「わあ!マイクラ!」
長女がようやく喜んだ。
ただ、そこまで喜びを爆発させるといった感じではなかった。そういえば、娘がゲームがしたいと言ったとき、ゲームを買うかどうかはパパとママが決めることだ、と強く言い聞かせたことを思い出した。あなたが欲しいと思っても、決めるのは私だから、欲しいと思う気持ちはあきらめなさいと諭した。
長女はきちんとあきらめていたのだ。
娘たちが喜びを爆発させる瞬間を少しだけ期待していた部分もあった。でも、冷静になってから、ふと、娘たちが喜びすぎないで、よかったなと思った。
我ながら、うまくゲームを与えることができたぞと思った。誕生日プレゼントや何かのご褒美に与えたくはなかった。そんなことをすると、誕生日やクリスマスや、努力に対する期待値が極端に上がってしまうし、欲望が果てしなくエスカレートしそうだと思った。
ルールを確認してから、娘たちは、さっそくゲームをはじめた。すごくうれしそうだった。まだまだこの先分からないけど、彼女たちなら、きっとゲームとうまく付き合ってくれそうな気がした。