かにみそなまこをつまむ。

40代男子の日常、昔の思い出などについて、現在休載中

金魚を飼う①

 家で金魚を飼っている。数年前から飼い始めたが、きっかけはごくありふれたことだった。娘が町内の夏祭りで金魚をすくってきた。

 あわてて水槽を用意して、数匹の小さな和金を飼い始めたが、1匹1匹と死んでいき、やがて水槽が空っぽになった。祭りの金魚はすぐに死ぬと聞いていたが、本当にその通りだった。

 下駄箱の上に水槽を置いていたのだが、水槽のある玄関というのは悪くなかった。ろ過装置から出てくる水の音が心地よかった。もう一度、飼おうと思った。

 フナのような姿の和金に飽きていたので、今度はずんぐりした形の、琉金という種類の金魚を2匹買ってきた。琉金はひれがひらひらしていて、和金よりも金魚らしい感じがする。水槽に入れて泳がせると、玄関が華やかになった気がした。

 1匹は普通の赤い琉金で、もう1匹はキャリコという種類で、黒と白と赤の模様が混じっている。今よりずっと幼かった長女に「名前をつけて」と頼んだら、赤い方にはイチゴという名をつけてくれた。イチゴは長女の好物だった。もう1匹のキャリコ琉金は、モサにすると言った。猛者?なぜ?と思っていたら、恐竜のモササウルスのことらしい。当時、長女は恐竜にはまっており、中でもモササウルスがお気に入りだった。どちらにも好きなものの名前をつけたのだ。

 このモサの気性が非常に荒かった。エサをあげると、1人占めして、イチゴにエサを食べさせない。モサの目を盗んでイチゴがエサを食べようものなら、イチゴを追いかけまわす。気づくと、イチゴの体に咬み跡があったりした。金魚の性格を知って名づけたわけではないのに、その名にふさわしい2匹の立ち振る舞いだった。

 モサからイチゴを救うにはどうすればいいか、水槽を眺めながら、当時の私は、日々考えていた。・・・つづく

 

↓ はじめて買った水槽はこれ