ドビュッシー
ピアノの話をすると、ドビュッシーがいい。
小学校の6年間、ピアノを習ってた。中学校に入って辞めたけど、高校で再開した。高校のときは、2年ほど習った。
モーツアルトのソナタをよく弾いていた。そのときは、なぜピアノの先生がモーツアルトをすすめたのか、よく分からなかったが、今となっては、なんとなく分かるような気がする。比較的簡単で弾きやすいというのもあるのだろうが、モーツアルトの軽快さとか、明るさとかがそのときの私に似合っていたんじゃないだろうか。でも、当時は音楽的な教養が全くなかったから、モーツアルトのソナタを技巧的でかっこいいと思ってた。
30代半ばで、またピアノを弾きはじめて、ちょっとだけピアノのことが分かってきた。モーツアルトがおもしろい音楽だと気づいたり、ベートーベンがかっこいい音楽だと気づいたり、ショパンがロマンチックな音楽だと気づいたりした。ショパンの曲を練習していると、もうショパン以上に美しいピアノの曲なんてないんじゃないかと思った。ドビュッシーも聞いたことはあったが、ショパンと比べると、つかみどころがなくて、よさがあまり分からなかった。
でも、最近、ようやくドビュッシーの良さが分かってきた。
月の光
ドビュッシーの美しさに気づくと、ショパンはロマンチックだけど、ちょっと女の子に向かってかっこつけてるふしがあるな、なんて思う。
ドビュッシーには、そんな尖った部分が皆無だ。自然の風景のような美しさがある。ただただロマンチックで美しい。
あまりかっこつける必要のなくなったおっさんだからこそ、良さが分かるようになったのかもしれない。