かにみそなまこをつまむ。

40代男子の日常、昔の思い出などについて、現在休載中

夕方の散歩

 昨日の夕方、家族みんなで近くのスーパーまで出かけた。娘二人は自転車。大人二人は徒歩。住んでいるのが田舎の閑静な住宅地で、周りに商業施設がほぼない。近くのスーパーといってもけっこう距離がある。普段は歩いてなんか行かない。今日は、みんなで散歩を楽しむ目的で出かけたのだ。

 散歩を楽しんで、着いて中に入ると、商品を陳列している棚がガラガラで、びっくりした。今月で閉店すると聞いていたのを、思い出した。窓に「36年間ありがとうございました」と貼っていた。36年前といえば、私がこの町にやってきたころだ。そのときからずっとこのスーパーはあったのか、と考えると、少しせつなくなった。

 目の前で、きゃっきゃ言いながら自転車を漕いでいるこの娘二人も、いつか自分たちのもとを離れていくのだろうか。帰り道、黄昏の景色の中で、思った。さらにせつなくなってくる。二人ともきれいな大人の女の人になるのだろう。

 もうどうしようもなく胸が痛んできて、気が狂いそうになってきたので、これはまずいと思い、うんうん知恵をしぼって、さらにその先の、ババアになった娘二人のことを想像してみることにした。

 おお、全然さみしくないぞ。

 案外このイメージ、大切かもしれない。

 ババアといかずとも、今の自分くらいの、40代や50代になった娘たちを想像する。子育てのゴールとして、どうしても20歳くらいをイメージするけど、40代、50代くらいになって、この世界で、一人の人間として、うまく、幸せに生きている、そんなイメージを持つ。

 こっちの方が、手放しで、成長を喜べるじゃないか。

 

 顔をあげると、妻と娘たちがずいぶん遠くの方まで行ってた。

 夕暮れの光が美しくて、ああ、今日はたいへんにいい休日だなあと、思ったのでした。