かにみそなまこをつまむ。

40代男子の日常、昔の思い出などについて、現在休載中

ソメイヨシノ

 さくらがあっという間に咲いた。つぼみが膨らんだと思ってたら、もう八分咲き。(3月25日現在)今日が曇りでよかった。ずっと曇りならいいのに。私は満開の桜とうららかな春の陽気の組み合わせが嫌いだ。なんか美しすぎて幸せすぎて、怖くなるから。もうこの胸の期待と不安をどうにかしてくれ、とメンヘラな気分になる。曇りの八分咲きで充分だ。満開のころには、私をそっとしておいてくださいと心の中でつぶやき、ソメイヨシノと目を合わせないようにする。

 有名な話らしいが、最近になってはじめてソメイヨシノが全てクローンだということを知った。普通、植物には種がある。でも、ソメイヨシノには種がない。種ができないのだ。子供ができないのに、どうして全国いたるところにソメイヨシノが生えているのか。実はみな接ぎ木から生えたものらしい。全国のソメイヨシノさんは、みな同一人物だったのである。だから、ほとんど同じタイミングで、いっせいに咲く。

 昔、桜には個性があんまりないなーと思ってたが、個性がないのではなく、おおげさに言うと、全部で一匹の個体だったのである。この桜、あの桜、その桜もみな、あの人。

 あそこの桜、向こうの桜、私、Aさん、Bさんではない。DNAとしては日本全国の桜、私、Aさん、Bさんが対等に存在しているという不思議。桜が日本の象徴とか言うのを、この事実と照らし合わせて考えたら、民族主義的に思えてくる。満開の桜がおそろしいとか言ってる私の複雑な心の内も、案外この事実が関係しているのかもしれない。

 

 

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