天ぷらうどん
土日は、私が料理を作ることが多い。料理好きというわけではないが、自分の好きなものを食べたい。味付けの濃いものが食べたい。
今日、午前中買い物に行き、昼用にお惣菜の天ぷらを買った。398円のくせに、けっこう入ってるからお得だ。年末の海老天はやたら高いのに、普段の天ぷらは安い。
家に帰ってから、昼ごはんの準備をした。これでもか!とダシを取りまくる。出汁パックに加え、昆布も投入。さらに味付けは麺つゆという、出汁の三乗。そこに、冷凍のさぬきうどんを三玉ぶちこむ。
最近思ったが、冷凍のさぬきうどんは、長い時間茹でてもおいしい。かつては、固まりがほぐれたら、すぐに上げたてた。早くあげないとコシがなくなってしまうと思っていたのだ。が、5分ほど茹でても、そこまでコシがなくならないことに気づいた。コシは残ったままで、表面だけやわらかくなって、口当たりがよくなる。めんどくさがりな私は、つゆに直接ぶちこむので、味も付く。
煮込みながら、お惣菜の天ぷらを食べやすい大きさに切っておく。うどんを上げたら、各器にとりわけ、天ぷらをのせていく。
最後に上から、つゆをかけるときが一番楽しい。たとえるなら、お墓を完璧に掃除した後、お花を飾る瞬間に似ている。なぜお墓参りにたとえたのか、自分でも分からない。
たちこめる湯気の中、テンションが上がっていく。398円でこのぜいたく!ひゃっほう!
「お昼できたよ。」
アニメを見ていた娘二人に、中断するよう声をかけた。テレビの部屋から不満げな表情の二匹のペンギンが、ペタペタと床を歩いてくる。
テーブルの上には、ほかほかの天ぷらうどんが乗っている。
テーブルを一瞥して、長女が第一声を発する。
「私、天ぷら嫌いやねん。」
天ぷら嫌いって何やねん。
天ぷら嫌いって何やねん。
天ぷら嫌いって何やねん。
そんなんあるんか。
そんなセリフあったんか。
隣のトトロ嫌いやねんと同じくらい聞いたことないわ!